賠償金の算定における3つの基準(自賠責基準・任意保険基準・裁判所基準)

交通事故の損害賠償請求において、正当な賠償金を受け取るためには、賠償金の項目ごとに適切な基準によって算定されているのかについて、しっかりとチェックする必要がありますが、実は、交通事故の賠償金については、自賠責基準、任意保険基準、裁判所基準の3つの基準があり、どの基準に基づいて計算しているのかによって、慰謝料額が大幅に変わってきます。

今回は、これら3つの基準の違いやポイントについて解説します。

最低限の補償である自賠責基準とは?

自賠責基準(※)とは、強制加入が義務付けられている自賠責保険における慰謝料算定基準のことをいいます。交通事故被害者の最低限の救済を目的としているため、自賠責基準によって算出される賠償金は、任意保険基準や裁判所基準に比べると非常に低くなることに注意が必要です。

項目別の慰謝料の上限は以下のようになっています。

※自賠責保険の支払基準が改正され、令和2年4月1日以降に発生した後遺障害による損害の保険金等の支払いについては、新基準が適用されます。令和2年4月1日以前に発生した後遺障害による損害の保険金等の支払いについては括弧内の金額です。

傷害慰謝料 120万円
後遺障害慰謝料 等級により32~1,150万円(1,100万円)
死亡慰謝料 3,000万円

入通院慰謝料の計算方法

自賠責基準では、怪我をして入通院したことに対する慰謝料について、1日あたり4,300円で計算して算出します。ただし、基準とする日数については、次のいずれか少ない方です。

※自賠責保険の支払基準が改正され、令和2年4月1日以降に発生した入院慰謝料については、新基準が適用されます。令和2年4月1日以前に発生した入院慰謝料については、1日につき4,200円です。

・治療期間(完治した日または症状固定した日まで)の全日数
・実通院日数(入院日数+実際に通院した日数)の2倍

例えば、治療期間30日で、実通院日数が18日だった場合、実通院日数×2=36日となり、治療期間の方が少ないため、30日を採用して4,300円×30日=129,000円となります。

また、後遺障害慰謝料については、後遺障害認定で認定された等級に応じて該当する慰謝料が支払われます。

公開されていない任意保険基準とは?

自賠責保険の算定基準である自賠責基準に対して、任意保険基準とは自動車保険各社が独自に設けている算定基準のことです。

いわゆる社内基準のようなものなので、外部には公開されていませんが、当事務所が過去任意保険会社と交渉してきた経験からすると、自賠責基準に近い金額で算出してくる傾向があります。

任意保険基準は駆け引きに使われる?

保険会社が提示してくる慰謝料については、被害者の出方に次第で駆け引きをしてくるということが最大のポイントになります。

例えば、被害者自らが窓口となって交渉した場合、弁護士が窓口となって交渉した場合、交通事故に強い弁護士が窓口となって交渉した場合、それぞれによって、提示してくる金額を変えているのです。

示談交渉において弁護士を立てない場合、保険会社が正当な金額をはじめから提示してくることはまず有り得ません。保険会社はできるだけ支払う保険金を抑えたいと考えているため、弁護士を立てずに交渉すると、ほぼ間違いなく足元を見られるため注意が必要です。

弁護士に依頼することで、次にご紹介する「裁判所基準」によって慰謝料を算定し、保険会社に対して増額するよう交渉することができます。

正当な補償を受けるためには裁判所基準をベースに交渉することがポイント

裁判所基準とは、過去の交通事故裁判において認められた実際の慰謝料をベースに作られている算定基準で、裁判所や弁護士が基準としていることから、裁判所基準や弁護士基準などと呼ばれています。

3つの基準の中で最も高い金額であり、交通事故で正当な補償を受けるためには、裁判所基準に基づく慰謝料を請求することが最も重要です。

例えば、後遺障害慰謝料についても、第14級で自賠責基準ですと32万円ですが、裁判所基準ですと110万円が妥当な金額となります。このように、かなりの違いがありますので、保険会社から提示される金額と、裁判所基準による金額には通常かなりの差が生じるのです。

重要なことは、裁判所基準を誰が用いるか

慰謝料算定における3つの基準については、様々なサイトですでに公開されている情報であるため、被害者の方によってはご自身で裁判所基準を調べられて、独自に計算して保険会社に増額交渉を試みる方もおられます。

ですが、残念ながらそれでは保険会社は増額交渉に応じてはくれません。

重要なことは、裁判所基準によって慰謝料を計算することではなく、弁護士が裁判所基準で計算した慰謝料を提示して、保険会社にプレッシャーをかけることにあります。

裁判所基準は、あくまで裁判になった場合に認められる可能性が高い金額ですので、裁判にまでなる可能性が低そうであれば、保険会社としては支払おうとしません。

被害者自らが交渉の窓口になっている以上は、裁判になるとは考えないため、いくら裁判所基準で計算した金額を提示したとしても、まともに取り合ってはもらえないでしょう。

裁判所基準は、交通事故に強い弁護士が「裁判所基準による金額を認めてもらえないなら、裁判になりますよ」という暗黙のプレッシャーをかけることで、はじめて保険会社側が交渉に応じるものなのです。

慰謝料を最大化するための当事務所のノウハウ

慰謝料の交渉については、当事務所の過去の経験上、お互い3回くらいの譲歩の末、最終的な合意をする傾向があります。よって、増額交渉をする場合は、あらかじめ最低でも3回のプロセスがあることを念頭において、こちらから金額を提示していく必要があるのです。

最初から低い金額を提示してしまうと、着地点はさらに低くなってしまうため、初回にこちらから提示する金額については、ご依頼者様のご意見もお聞きしながら、慎重に判断しております。

慰謝料以外の項目についても細かくチェックする

交通事故の賠償金は、慰謝料だけではありません。

その他にも治療費や休業損害、逸失利益といった様々な項目があるため、保険会社から示談金が提示されたら、慰謝料だけではなく、これらの項目すべての金額について妥当性を検証しています。

その上で、適正ではない項目については、根拠となる資料や証拠などをつけて、保険会社に交渉することで、増額になることも多々あるのです。

正当な賠償を受けるためにも、当事務所までお早めにご相談ください
このように、慰謝料を始めとする示談金、賠償金については、弁護士に依頼するかどうかによって、最終的な金額が大幅に変わってきます。

弁護士費用を気にされる方もおられますが、当事務所はご依頼いただいた場合と、いただかない場合とで、どちらの方がご相談者様にとって経済的なメリットがあるのかについて、正直かつ率直にお伝えしておりますので、その点についてはご安心ください。

ご相談者様にとって、費用対効果がないと判断した場合は、きちんとその旨を事前にお伝えしていますので、まずは弁護士費用のことは気にせず、お気軽にご相談ください。

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