後遺障害3級とは?四肢麻痺・両上肢や両下肢の高度障害の認定基準と慰謝料を弁護士が解説
交通事故により四肢の動きが大きく制限され、自立生活が困難になった場合、後遺障害3級が該当する可能性があります。
3級は、両腕や両脚がほぼ用廃状態となり、常に介助が必要な重度の等級です。
この記事では、3級の認定基準、代表的な症例、慰謝料・逸失利益の相場、異議申立ての要点を弁護士が詳しく解説します。
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後遺障害3級が認定される主な症状
3級は、身体の主要な運動機能が広範に失われ、介助なしでは生活が成立しないレベルの障害が対象です。
- 四肢麻痺により立位保持や歩行が不能
- 両上肢の巧緻動作がほぼ不可能で、日常動作に介助を要する
- 両下肢麻痺により車椅子生活を余儀なくされている
- 骨盤・脊髄損傷による重度運動麻痺または感覚障害
- 複数部位の関節強直や変形で自立動作が不可能
3級は「運動機能の喪失」と「生活自立の欠如」が重視され、単なる可動域制限とは区別されます。
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認定基準と判定の考え方
後遺障害3級は、四肢全体の機能が大きく失われている場合に認定されます。
等級表上の代表的な該当例は以下の通りです。
| 障害部位 | 障害の内容 | 認定基準の目安 |
|---|---|---|
| 両上肢 | 用廃または高度の運動障害 | 両腕が動かず、物を持つ・掴む動作ができない |
| 両下肢 | 用廃または高度の運動障害 | 両脚での立位・歩行が不可能、常時介助が必要 |
| 四肢全体 | 広範な麻痺や強直 | 脊髄損傷などによる四肢麻痺 |
関節角度や筋力評価に加え、神経学的検査で麻痺の程度を明確に示す必要があります。
4級・2級との違い
3級は4級よりも重く、介助を要する状態が常態化している等級です。違いを比較します。
| 等級 | 障害範囲 | 代表例 | 労働能力喪失率 |
|---|---|---|---|
| 2級 | 常時介助が必要 | 頸髄損傷による四肢麻痺、寝たきり | 100% |
| 3級 | 四肢・両上肢・両下肢の高度障害 | 車椅子生活・介助を要する生活 | 92% |
| 4級 | 両上肢・両下肢の重度障害 | 両腕や両脚の著しい制限 | 89% |
3級は介助の必要性が大きく、社会復帰が極めて困難な状態と判断されます。
認定のために必要な医学的資料
3級は、可動域測定だけでなく、運動・感覚・筋力を多角的に証明する必要があります。
- 筋電図(EMG)と神経伝導検査(NCV)
- MRI・CTによる脊髄・神経・骨関節の異常証明
- 徒手筋力テスト(MMT 0〜1レベル)
- ADL評価(Barthel Index、FIMなど)
- 主治医の意見書(生活介助の必要性を明記)
複数の医療機関での検査結果を統合し、診断書に矛盾がないよう整えることが重要です。
慰謝料・逸失利益の目安
後遺障害3級に認定された場合の慰謝料と賠償金の目安は以下の通りです。
| 基準 | 慰謝料額(目安) |
|---|---|
| 自賠責基準 | 約861万円 |
| 任意保険基準 | 約1100〜1400万円 |
| 弁護士基準 | 約1900万円前後 |
労働能力喪失率は92%で、就労継続が難しい職種では逸失利益が非常に高額になります。
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異議申立てのポイント
初回で4級とされた場合でも、生活介助の実態を証明できれば3級に上がる可能性があります。
異議申立てで有効な資料は次の通りです。
- 介助記録(日常生活動作の頻度・時間)
- ADLスコア表・リハビリ計画書
- 再測定データ(筋力・可動域・麻痺の程度)
- 専門医の意見書(改善見込みなしの明示)
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弁護士に依頼するメリット
3級は介助の有無・生活実態・医証の整合性など、多面的な立証が必要な等級です。
弁護士は医療記録の整備、異議申立ての書面作成、賠償金交渉までを一貫して行います。
- 医証・生活記録・ADL資料の整理と統合
- 専門医との意見書作成・補足説明の依頼
- 逸失利益・慰謝料の弁護士基準での請求
- 後遺障害申請・訴訟対応の全面支援
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まとめ

後遺障害3級は、両上肢・両下肢の高度障害や四肢麻痺など、日常生活に常時介助を要する等級です。
医学的データと生活記録を整合的にまとめることで、適正な認定を受けられる可能性が高まります。
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