後遺障害1級とは?完全寝たきり・意思疎通困難など最重度障害の認定基準と慰謝料を弁護士が解説
交通事故により脳や脊髄に重い損傷を受け、自力での生活が不可能な状態になった場合、後遺障害1級に該当します。
1級は後遺障害の中で最も重く、常時の介助を要し、意思疎通も著しく制限される等級です。
この記事では、1級の認定基準、症例、慰謝料・逸失利益の相場、必要な資料や弁護士のサポート内容を解説します。
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後遺障害1級が該当する主な症状
後遺障害1級は、全身の運動・知覚・意思機能が極めて重度に損なわれ、自立生活が完全に不可能な状態が対象です。
- 脊髄損傷により四肢麻痺および体幹の運動喪失
- 重度の脳損傷で意識障害が持続し、意思疎通がほぼ不能
- 寝たきりで常時介助を必要とする
- 嚥下・排泄・更衣などの動作が全て介助によって行われる
- 長期にわたるリハビリを経ても改善が見込めない
「常時介助が必要」かつ「意思疎通が困難」な場合に、1級の認定が検討されます。
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認定基準と評価の視点
1級は、医学的検査と社会的評価の両面で「自立生活が不可能」と判断される必要があります。
以下は主な評価基準のまとめです。
| 評価項目 | 内容 | 認定の目安 |
|---|---|---|
| 運動機能 | 四肢・体幹の完全麻痺、筋緊張消失 | 自力での姿勢保持・移動が不能 |
| 意識・意思疎通 | 発語不能、理解・反応が著しく制限 | 意思疎通が不可能または極めて困難 |
| 生活動作 | 食事・更衣・排泄など | 全て介助により行う状態 |
| 医療所見 | MRI・CTによる脳・脊髄損傷の確認 | 不可逆的な損傷が明示されている |
医学的根拠と介助記録が一致していることが、1級認定の鍵となります。
2級との違い
2級も常時介助を要する等級ですが、1級はさらに重く、「意思疎通がほぼ不能」「全身機能が喪失」に至る状態です。
| 等級 | 主な状態 | 生活自立度 | 労働能力喪失率 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 完全寝たきり・意思疎通困難 | 終日介助が必要 | 100% |
| 2級 | 寝たきり・常時介助が必要 | 会話などは一部可能 | 100% |
1級は、生命維持に必要な行為も全て他人の介助で行われる水準を指します。
認定に必要な資料
1級の認定では、医師の診断書に加え、介護・看護記録など多面的な資料を揃えることが求められます。
- 意識レベル評価(JCS・GCS)
- ADL評価表(FIM・Barthel Index)
- 医師意見書(意思疎通・介助の必要性)
- MRI・CTによる器質的損傷の画像
- 介護日誌・訪問看護記録
複数の専門医が一貫して「自立生活不可能」と認めることが重要です。
慰謝料・逸失利益の目安
後遺障害1級は、最重度のため慰謝料も最大水準が適用されます。
| 基準 | 慰謝料額(目安) |
|---|---|
| 自賠責基準 | 約1150万円 |
| 任意保険基準 | 約1500〜1800万円 |
| 弁護士基準 | 約2800万円前後 |
労働能力喪失率は100%であり、逸失利益は生涯賃金全額に相当します。
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異議申立ての実務ポイント
2級と判断された場合でも、意思疎通・介助頻度・意識レベルを追加証明することで1級が認められることがあります。
- 介護・看護記録(日常の介助内容と時間)
- 医師意見書で意思疎通困難を明記
- 神経学的所見・画像で不可逆性を証明
- 訪問看護・施設利用記録を添付
弁護士が資料を整理・統合し、異議申立ての書類を整備します。
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弁護士に依頼するメリット
1級は介助・医療・生活記録のすべてを統合した精密な立証が必要です。
弁護士が関与することで、複雑な資料整理や損害計算を適正に行うことが可能になります。
- 医師・介護機関との意見調整と記録補強
- 申請・異議申立て書類の作成支援
- 逸失利益・慰謝料の最大化交渉
- 保険会社との示談・訴訟対応の全面代理
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まとめ

後遺障害1級は、寝たきりや意思疎通困難など、生命維持にも介助を要する最重度の等級です。
医学的根拠と介護記録を一貫して整備し、法的主張と結びつけることで、適正な賠償金の獲得が可能です。
大栄橋法律事務所では、医療・介護・法律の専門家が連携し、重度障害の被害者を全面的にサポートしています。







