後遺障害10級とは?手足の可動域制限・関節障害の認定基準と慰謝料
交通事故によって手足や関節の動きが悪くなり、仕事や日常生活に支障を感じていませんか。
可動域が大きく制限されると、「後遺障害10級」に該当する可能性があります。
この記事では、10級の認定基準、慰謝料・逸失利益の相場、診断書の整え方、異議申立ての実例までをわかりやすく解説します。
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後遺障害10級が認定される代表的な症状
10級は、身体の主要な関節や機能が「著しく制限された状態」に認定されます。
事故後に手足の動きが鈍くなったり、腕を上げる角度が減ったりした場合が典型的です。
- 上肢または下肢の可動域が正常の半分以下に制限されている
- 股関節・膝関節・肩関節などの運動制限
- 手首や足首の可動域が顕著に狭く、歩行や操作に支障
- 骨折後に関節拘縮が残り、完全伸展・屈曲ができない
- 靱帯損傷・腱断裂・神経損傷による運動制限
これらは、単なる痛みではなく、関節や筋肉の構造的な変化が確認できる状態です。
※関連記事:後遺障害の認定手続き
可動域制限の認定基準
後遺障害10級では、医師が測定した「可動域の角度」が重要になります。
関節の動きが正常値の2分の1以下になった場合、10級に認定される可能性があります。
| 部位 | 正常可動域 | 10級に該当する目安 |
|---|---|---|
| 肩関節 | 180° | 90°以下 |
| 肘関節 | 145° | 70°以下 |
| 股関節 | 125° | 60°以下 |
| 膝関節 | 135° | 65°以下 |
医師は、関節角度を分度器(ゴニオメーター)で計測し、診断書に明記します。
複数回の計測を行い、誤差がないよう記録することが大切です。
10級・11級・9級の違い
可動域制限や機能障害では、似た症状でも等級が異なります。
以下に違いをまとめます。
| 等級 | 障害の程度 | 代表例 | 労働能力喪失率 |
|---|---|---|---|
| 9級 | 両側の主要関節で可動域が半減 | 両膝または両肘に拘縮 | 35% |
| 10級 | 片側の主要関節で可動域が半減 | 右肩、左膝など一部に制限 | 27% |
| 11級 | 3/4程度の可動域制限 | 中等度の運動制限 | 20% |
可動域の数値だけでなく、日常生活や就労への影響も考慮されます。
慰謝料・逸失利益の相場
後遺障害10級が認定された場合の慰謝料・賠償金の目安は以下の通りです。
| 基準 | 慰謝料額(目安) |
|---|---|
| 自賠責基準 | 約190万円 |
| 任意保険基準 | 約250〜350万円 |
| 弁護士基準 | 約550万円前後 |
労働能力喪失率27%で、逸失利益の請求も可能です。
特に体を使う職種では、減収や昇進への影響も評価対象になります。
※関連記事:逸失利益の計算方法
認定を受けるための準備
後遺障害10級を認めてもらうには、診断書の記載内容が極めて重要です。
以下の点を医師に明記してもらいましょう。
- 受傷部位と損傷内容(骨折・靱帯損傷・神経障害など)
- 関節可動域の数値(左右比較を含む)
- 症状固定時期と改善見込みの有無
- 仕事・生活上の支障(具体的動作)
また、通院の間隔が空くと「症状が軽い」と判断されることがあります。
月1回以上は受診を続け、記録を切らさないようにしましょう。
※関連記事:後遺障害の診断書作成時の注意点
異議申立てのポイント
初回で11級や12級とされた場合でも、異議申立てによって10級へ上がることがあります。
有効な方法は次の通りです。
- 再検査で可動域角度を再測定し、写真付きで提出
- 主治医の追加意見書を添付する
- リハビリ記録や動画で日常動作の制限を示す
これらの資料があれば、実際の支障が客観的に伝わりやすくなります。
※関連記事:後遺障害の異議申立て方法
弁護士に依頼するメリット
後遺障害10級は、診断書や検査数値の記載ミスで等級が下がることが多い等級です。
弁護士に依頼すれば、医師との連携や交渉資料の整理を専門的にサポートしてもらえます。
- 医証(診断書・検査記録)のチェックと修正助言
- 損害保険料率算出機構への提出書類の作成
- 慰謝料・逸失利益の弁護士基準算定
- 異議申立て・示談交渉の代理
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まとめ
後遺障害10級は、手足や関節の可動域が大きく制限されるケースで認定されます。
検査データと診断書の整合性を確保し、生活への支障を具体的に伝えることが大切です。
弁護士に依頼すれば、書類作成や保険会社との交渉を含め、適正な補償を受けるためのサポートを受けられます。







